【マツダ】ボンゴ(初代FSA型)

小型1BOX車の代名詞となった「ボンゴ」。派生モデルも次々に登場し、1980~1990年代には1BOX車ブームを牽引しました。

その初代が登場したのは1966年のこと。商用・乗用問わず、日本における1BOX車の大きな歴史のドアを開いたのは、紛れもなく、この初代ボンゴでした。

 

 

 【ボンゴ(初代FSA型)の歴史】

 

 

 

 

 

 

軽1BOXや軽トラックと、1t~2t積トラックの間を埋めるキャブオーバー1BOXは、ボンゴ発売前には存在していませんでした。
例外として、1960年から2年間発売された日野・コンマースがありますが、FFレイアウトを採用したことや、耐久性の弱さ、さらにはまだ自動車自体が非常に高価だった時代背景もあり、販売面では振るわずに終了しています。

1966年にボンゴが発売され、好調な売れ行きを見せると、他メーカーもライバル車を投入します。1968年に三菱・デリカトラック(バンとコーチは1969年)、1969年に日産・サニーキャブ/チェリーキャブ、1970年にトヨタ・ライトエーストラック(バンとコーチは1971年)、1971年にデルタ750(ライトエースのOEM)と、次々に小型キャブオーバー車が発売されていき、一気に市場は活性化しました。
当時まだ「1BOX」という呼び名が浸透していなかったこともあり、このクラスの車を総称して「ボンゴ」と言ったほどでした。

商用登録のバンとルートバン、乗用登録のワゴン(コーチ)、そしてトラック(500kg積)の4車種がラインナップされ、全長3770mm×全幅1500mm×全高1700mmの小柄なボディは、現代の軽自動車を少し大きくした程度の大きさ。ワゴンは、この小さなボディに3列シートを配置して8人乗りを実現し、これ以降の3列シートワゴン車の“はしり”とも言えます。カタログでは、ワゴンでキャンプに行く写真が掲載されるなど、既にアウトドアなどの多目的用途を想定していたことが伺えます。

エンジンは、ファミリアと共通の「SA型(水冷直列4気筒OHV・782cc)」をリアに縦置き。RRレイアウトを取ったことで、超低床化に成功し、床面地上高はトラックが460mm、バンは450mmと、荷物の積み下ろしが楽に出来ました。
ただ、荷台の最後部にエンジンが配置されることになったことで、見た目よりも荷台の有効面積は少なくなっており、さらには後方のあおりを開くことが出来ないため、左側の1方開となっています。

1968年にマイナーチェンジが実施され「ボンゴ1000」として発売。「PB型(水冷直列4気筒OHV・987cc)」に換装し、37psだったSA型に比べ、48psにまで出力が向上しました。
1969年には法規対応のため、フロントの側面にサイドウインカーが追加されました。

1973年、基準改正に対応すべく、橙色のフロントウインカー兼用だったポジションランプを独立させ、
赤色のブレーキランプ兼用だったリアウインカーも独立させました。

1975年頃になると、昭和51(1976)年排ガス規制へは対応せず、約9年の生産を終えました。その後、約2年のブランクを経て、1977年に2代目ボンゴが発売されています。

1BOXブームの頃には、ボンゴワゴンがライバル各車と共にそのブームを牽引しますが、より快適な「ミニバン」へとバトンタッチし、1999年にはワゴンの生産を終えて、商用車専用モデルとなりました。これはライバル各車も同様でした。
遂に2020年7月、4代目まで続いたボンゴ(バン/トラック)は、自社生産を終了。そして9月からは、トヨタ・タウンエースのOEM(正確にはダイハツ・グランマックスのOEM)として復活しました。歴史ある車種名が次々に無くなっていくこの時代に、ボンゴの名前はぜひ今後も続いて欲しいもの。日本における1BOXやミニバンの文化の礎を築いたのは、紛れもなくこの初代ボンゴです。

 

【諸元】

 

 

 

マツダ・ボンゴ(初代FSA型)

全長×全幅×全高 3770mm×1500mm×1700mm
ホイールベース 2000mm
乗車定員 2/5/8名
エンジン SA型 水冷直列4気筒OHV 782cc(37ps/5000rpm)
PB型 水冷直列4気筒OHV 987cc(48ps/5500rpm)
駆動方式 RR
トランスミッション 4MT
タイヤサイズ 5.00-12 6P